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リハビリテーションとは

語源はラテン語のre(リ)-habilitas(ハビリタス)-ation(エイション)、意味は「再び(元の)-(適した)状態に-すること」です。
紀元前から更正の意味で使われ現在では医療・福祉の場面で広く一般に知られています。
病気や事故等により障害を負った方が病気、障害を負った時点からリハビリテーションが始まり、病院から離れた後も引き続き自己を再認識していく過程(プロセス)をいいます。
現在、医療は急性期・回復期・維持期の3つの時期に分かれています。リハビリも各時期の対応した役割があり、回復期は特にリハビリ治療を集中して行う時期になります。
また、近年予防医学の観点から予防リハビリテーションとして、介護保険領域等で取り組みもなされています
リハビリテーションとは

リハビリテーションと当院の取り組み

入院されてからは日々の入院生活もリハビリテーションの一環となります。習慣化されていく生活の中にこそ改善につながるきっかけがあります。その基礎づくりとして、言語聴覚士(ST)、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)が評価から一人一人のニーズにあった日々の課題を設定し共に練習していきます。
また、当院では生活そのものがリハビリテーションであるという理念のもと、入院から退院されるまで途切れのない365日のリハビリテーションや実際のADL場面でのリハビリテーションを提供しています。
そのためリハビリ室での練習だけでなく、トイレ動作、食事、整容、着替え、車椅子・ベッド間の乗り移りなど生活に密着した様々な練習を行っています。
リハビリテーションの詳細についてはご入院された病棟のリハビリスタッフの中から主担当を設け、主担当者が休みの場合には代行制を取り入れています。
リハビリテーションと当院の取り組み

音楽療法について

音楽療法は代替医療あるいは補完療法、リハビリテーションでは補助療法などとも言われる治療方法です。疾患を直接的に治癒に導くのではありませんが、補完療法として優れた効果があることは立証済みです。幸福感や生活の質を高め、症状を軽減し、リハビリテーションなどの効果を高めてくれます。(Wikipediaから引用改変) 音楽療法はギリシア・ローマ時代からあったとのことですが、現代では、引きこもり児童のケア、高齢者ケアを中心に広く行われています。
音楽療法の効果の例として、日本音楽療法学会誌に掲載された症例報告を引用してみます(https://www.jmta.jp/abstractで「症例」をフリーワードとして記入し検索した)。

音楽療法

症例報告1。

97才女性。右脳梗塞と、さらに2年後の左脳出血に加えて認知症を発症。5年後には認知症状悪化(MMSE11/30点、夜間せん妄あり)とのことで、施設で週一回の音楽療法を導入した。なじみのある歌や季節の音楽を一緒に歌ったり、音楽と共に写真や挿し絵を見てもらって、生活史を思い起こしてもらった。一か月後はMMSE16/30点に改善し、「ピアノの先生がきて歌ってくれる」と音楽療法のことは覚えていてくれるようになった。夜間せん妄や幻覚がやや減った。2か月後、MMSE15/30点、カレンダーに○印をつけたお孫さんの結婚式や女学校時代楽しかったこと、戦時中の怖かったことなど、一度思い出した記憶を引き続いて覚えていることが出来るようになった。3か月後、MMSE17/30点、色々な会話が出来るようになり、表情も豊かになり笑顔も増えた。家人との電話で話が弾むようになり、簡単な体操や手話の模倣が出来るようになり、夜間せん妄や幻覚は消失した。音楽療法士との関係が親密となり、不安が軽減したことも大きく影響したものと考えられた。
(宇根美津子[医療法人社団涼風会佐藤脳神経外科]による症例報告から引用)

症例報告1

症例報告2。

脳血管障害の後遺症等により経口摂取困難となっている患者10名に対して、音楽療法を口腔機能訓練として行った。患者さんは77才から96才(平均83.5才)、男性2名、女性8名。中心静脈栄養3名、経鼻経管栄養2名、胃瘻3名、経口摂取2名。治療は週一回の個別音楽療法で約40回行って評価した。一回の治療は20分で、季節の歌や馴染みの歌を唄い、リズム楽器の演奏や、笛を吹くことを組み合わせて行った。結果、10人中5人で摂食機能が改善、4人は維持、1名は中止、であった。歌唱による発声、発語、呼吸の訓練は同時に摂食嚥下訓練に繋がるものと考えられた。
(下村桂子[三輪病院]による症例報告から引用)

症例報告2

症例報告3。

あるデイサービスで個別音楽療法を行っていたが、その4名の女性から「皆で歌を唄いたい」という要望があった。そこで小集団音楽療法に移行した。3回目頃から下のような役割分担が自然に生まれてきた。
A氏。もともと青少年育成に関わっていた方で世話好きであり明るく元気。小集団音楽療法でも場を作り相手を気遣いリーダーシップを発揮した。
B氏。一人暮らしで日中はぼんやり過ごしていることが多かった。小集団音楽療法で歌唱に加わり発言も増えた。
C氏。小学校の先生をしていた方であるが、場を読めずに勝手なタイミングで話し始めたり、立ち歩いたりすることがあった。歌詞の整理、配布を担当するようになり、作業があることで落ち着いて過ごせるようになっていった。
D氏。もともとデイサービスの集団体操やレクリエーションには積極的。「大きい声で歌おう」と他者に向けて言っているのかひとりごとなのか分かりにくい発言もあったが、ぶれない姿勢で参加した。
音楽療法士も、3回目には場を引っ張る必要がなくなって、4人による自主的な音楽への取り組みが成立するようになった。
(関真紀、他[総合介護福祉施設和朗園]による症例報告から引用)

症例報告3

この症例報告の他、失語症や認知症、パーキンソン病などに対しても音楽療法の有効性が報告されています。集団による音楽療法はリクリエーション的な側面も大きいようです。当院でも、色々な方法を組み合わせて、長く続けられるようにと考えております。なお、写真は当院での音楽療法の様子で、症例報告とは関係はありません。

令和5年8月
西川亮

練馬駅リハビリテーション病院のリハビリテーションは変わります。

サルコペニア

社会の高齢化により回復期リハビリテーション病院に入院される患者さんも75歳以上の後期高齢者の方が大変多くなっています。高齢の方の健康管理ではサルコペニアという状態に対する対策が重要になります。サルコペニアは加齢とともに筋肉が減ってくる状態をいいます。だいたい75歳ぐらいを境に75歳までと同じように食事をしていても栄養が筋肉作りに利用されにくくなります。ですから、75歳以前はむしろ栄養を摂りすぎてメタボリックシンドロームにならないようにしましょうと注意されていたのですが、75歳を過ぎるとサルコペニアにならないように意識的にタンパク質を摂るようにしましょうに変わります。食生活のギアチェンジが必要になります。しかしまだ一般にこのことは知れ渡っていないと感じます。高齢の方はもう仕事をするわけではないので筋肉が減っても構わないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、筋肉がしっかりした方が動作は容易になり自立した生活が続けられ、その上、筋肉からはマイオカインという物質が出てきます。先に挙げましたメタボリックシンドロームでは過剰に付いた脂肪組織からアディポカインという動脈硬化を進める物質を出して成人病を発症しますが、筋肉から出るマイオカインは逆に動脈硬化を改善したり認知症を改善したりする作用があります。マイオカインを充分出してもらうためにも筋肉を減らないように、むしろ増やすことを心掛けることが必要です。筋肉を増やすにはタンパク質を摂って運動することです。しかもサルコペニアで既に筋肉が減ってしまっている高齢の方が、更に病気になりますと、病気のため食欲は減退して栄養は摂り辛くなり、治療のために安静を強いられますので、筋肉がさらに減ってしまいます。一方、いろいろな病気の方の回復はサルコペニアがなく筋肉が充分ある方の方がサルコペニアで筋肉が減っている方より良いことが数多く報告されています。リハビリテーション治療でのよりよい回復のためにはサルコペニア対策が重要です。

筋肉量の測定機器を導入しました。

当院では筋肉量と脂肪量を簡単に計測できる器械を導入しました。写真の台の上に載って両手にグリップをもって1~2分立っているだけで筋肉量、脂肪量、さらにphase angleというからだの細胞の元気さを表す計測結果も分かります。入院患者さんのサルコペニアの状態を評価して栄養療法や運動療法に生かし、入院された皆様がよりよく病気から回復していただくためにサルコペニア対策に取り組んでいきたいと考えております。

筋肉量の測定機器

病院食の改革

栄養を摂るにしても食事が見た目にも楽しくおいしい方が食欲は進みます。同じ医療法人慈誠会内の病院の中には、見た目にも楽しくおいしい食事を提供している病院もあります。写真はその例で桃の節句と端午の節句に提供された行事食です。当院でもこのような食事が提供できるようにしていきたいと考えています。

病院食の改革病院食の改革

ロボットの導入を準備中です。

ロボット技術はますます実生活に浸透してきています。医学分野でも手術に用いられる手術用ロボット「ダビンチ」を始め数多くのロボットの利用の取り組みがなされています。リハビリテーション分野でも様々なロボット技術の導入が試みられています。当院では歩行リハビリテーションに「歩行アシスト」ロボットの導入を予定しています。もともとは人型ロボットASIMOを開発した本田技研工業が開発したロボットで、既に全国数百施設で臨床活用されているロボットです。本田技研工業本社のコロナ禍に対する営業方針の再検討から「歩行アシスト」ロボット事業を撤退することとなりましたが、来年からリハビリテーション企業大手のオージー技研が引き続き事業を継続することが決まっています。装着用のロボットで写真のように腰フレームと大腿フレームがモーターとセンサーを内蔵した接合部で繋がった構造をしていて、写真右上のバッテリーで動きます。動画にありますように写真右下のタブレットに股関節の動きがリアルタイムにモニターされ集計され、その結果から適切なアシスト力を加えることができ、左右対称な歩行をサポートするロボットです。現在は事業移行期のため新規契約ができませんが、来年1月から新規契約が可能になりしだい導入して、みなさんにご使用いただこうと計画しております。

ロボットの導入

『歩行アシストを装着して歩いている様子』

令和5年6月
慈誠会リハビリテーション統括センター長 小林龍生
小林のインタビューはこちら。医療法人社団 慈誠会 | 医療新聞DIGITAL<公式> (jmnn.jp)